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個人山行

'17,7,19-21 白馬・朝日・栂海新道

◆山 域:北アルプス北部
◆期 日:2017年7月18日~21日
◆参加者:竹中(単独行)
◆行 程
【7/18】竹中宅6:30発⇒八方第3駐車場22:30着

【7/19】八方バスターミナル6:00発⇒猿倉6:30着→白馬尻小屋7:20着→白馬岳頂上宿舎10:30着→白馬岳山頂11:00着→三国境11:30着→雪倉岳避難小屋12:45着→雪倉岳山頂13:20着→赤男山とのコル14:30→水平道分岐15:30→朝日岳山頂16:40着→朝日小屋テント場17:30

【7/20】朝日小屋テント場4:50発→朝日岳山頂5:30着→栂海新道分岐6:00→アヤメ平→黒岩平8:30着→黒岩山9:05着→犬ヶ岳12:35→栂海山荘12:45着(13:15発)→黄連山14:10着→黄連水場14:35着(15:15発)→白鳥小屋18:00着

【7/21】白鳥小屋4:05発→シキ水割5:00着→坂田峠5:50着→親不知観光ホテル8:45着⇒親不知駅⇒白馬駅⇒八方駐車場⇒竹中宅5:30着

《はじめに》
 山やなら一度は栂海新道をたどって日本海まで行ってみたいと思うのではないだろうか。2900mから0mまでたどるロマン、さわがに山岳会という一山岳会がロングルートを切り拓いたというロマン。よし今年の夏は栂海新道で決まりだ。と思ったが、夏は坊主家業が忙しい。シーズン前のこの時期に単独行ということになってしまった。
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《7/18》
 出発直前にいろいろな用事が入り、食糧の準備がバタバタになってしまった。それが貧しい山食という今回の山行となろうとは・・。とりあえず、2泊3日の計画を立てる。栂海新道は入山地点の設定が難しい。蓮華温泉にすると車の回収が難しい。栂池と白馬大雪渓ではコースタイムは似たようなものだが、どちらも最初の宿泊地が白馬か朝日となる。雪倉の避難小屋が日程的には1泊目に最適なのだが、最初から宿泊地として設定することは禁止されている。悩んだ末に、1日目は老体にムチ打って朝日岳までがんばることにする。
 早めの夕食を終えて出発。単独なので交通費をケチって19号で行く。トラックも飛ばしてくれて快調に塩尻へ。そこから高速に乗って思ったより早く八方につく。車は3割くらいか。シーズン初めで平日だからか。
 翌朝4時半に目覚めて朝食と行動食を買いに向のローソンへ。ところが棚にはおにぎりどころか弁当もない。売り切れ。急いで近くのセブンへ車を飛ばし、なんとかおにぎり5個とカップ麺を手に入れる。バスの時刻を気にしながらかき込みパッキングを済ませてバスターミナルへ。6時始発の5分前に到着。バスも半分ほどの乗客だ。
 猿倉では登山計画書はWebで提出済みなのですぐにパッキングを済ませて歩き始める。朝から快晴でもう汗がにじみ出る。
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 白馬尻小屋で小休止。大雪渓に取り付くも人がまばらだ。盛夏の行列を思うと本当に人が少ない。ノーアイゼンでガンガン登っていく。落石を警戒して中央を歩いていくと行く手にクラックが。少し戻って飛び越し左手にコースを移る。最初からベンガラの通りに歩けばよかった。葱平に近づくにつれ両側の斜面が迫り雪面の岩も多くなってくる。警戒していたところ、突然ガラガラという落石音。300mほど上の登山者に向かってでかい破片が!手前で破片が止まりやれやれ。特にシーズン初めは岩が不安定で落石に警戒が必要だ。
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 葱平から土の登山道を登る。上の小雪渓もしっかりトラバースルートが切ってるので安心だ。グングン高度を稼ぎ、頂上宿舎も通り過ぎ、白馬山荘も横目で見て白馬岳頂上に到着。随分先行を追い抜いてきたつもりだったがコースタイムとそれほど違わない。これでは朝日岳が夕方になってしまう。撮影もそこそこに出発。
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 三国境へ向かうと下から次々と登ってくる。ひょっとして大雪渓よりよっぽど多い?三国境から左にコースを取り鉢ヶ岳とのコルへ向かう。下りのルートに若い女の子が一人休んでいる。近づくと立って歩き始める。そりゃうさんくさいおっさんが近づいてくりゃ逃げるわな。ところがこのルートへ来るにしてはどうみても軽装。薄手のアンダーウェアとタイツ、デイパック。帽子を落としたので拾って追いかける。「お嬢さん、お待ちなさい、ちょっと落し物」と声をかけて話を聞くと、猿倉から朝登って栂池へ降りると言う。(俺より速いのかあ?)と思いつつ道が違うことを教える。彼女、持っていた観光地図で確認するとお礼を言って引き返していった。乙女の遭難を防いだ正義の山や、と言うほどじゃないけど、少しいいことをした気分。
 鉢ヶ岳のトラバースは残雪が多く雪渓のトラバースが何か所もあった。雪面が滑るのでアイゼンは必須だが、これを付けたり外したりに案外時間を取られる。雪倉の避難小屋は10名以上は泊まれそうな大きさ。清潔だし、周りに雪渓の水もあり、ここでのんびり宿泊もいいんじゃね。という誘惑を振り切り断固として朝日岳をめざす。
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 雪倉岳から下り赤男山のトラバースルートへ入ると樹林帯になり途端に蒸し暑くなる。風はないわ、虫さんは出てくるわ。燕岩を通り過ぎ湿地帯に入ると水芭蕉が癒してくれる。白馬水平道は残雪が多く、通行止めだった。
 
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 いよいよ朝日岳への急登に入る。覚悟はしていたが、10時間近くの歩行で疲れが足に来た上に蒸し暑くてピッチが上がらない。小休止を繰り返しながらようやく朝日の頂上に着いたときは、心底ホッとした。

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 朝日小屋への下りでは、キヌガサソウが最高だった。この花、俺には貴婦人に見えるよ。朝日小屋のテント場についてテント設営。他には4張りだけだった。小屋にテントの申し込みに行く。どこから来たか聞かれたので猿倉と答えると、「近頃おかしな人が多いのよ」と言われてしまう。夕方到着ではこちらもデカいことは言えないので、恐縮して明日のコース状況など聞く。小屋でビールを買って外のテーブルでまったり。白馬岳方面が夕日に映えて美しい。
 
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 ピラフのジフィーズにレトルトのカレーをかけて夕飯。カレーがあった方が絶対うまいし、量的にも満足できる。バーボンの酔いもあって8時には爆睡。夜中1時に目が覚めそのあとはウツラウツラ。
《7/20》
 3時半に起床してすぐに朝飯作り。隣のテントはもう撤収を始めている。朝飯も炊き込みご飯のジフィーズだ。朝一のコーヒーが飲みたいが出発のゴタゴタで買えなかった。お湯を飲んでがまん。食事後テントの撤収に入るが、一人だと空気が抜けなくて畳みにくい。外へ出ると4時過ぎにはもう空が明るい。パッキングを済ませて急いで出発するが5時近くになってしまう。
 朝日岳山頂で女性単独に追いつく。お話を聞くと30年前に栂海新道をやったそうな。お昼に栂海山荘について、もったいないから白鳥小屋まで行ったら夕方になってしまったとのこと。まさか自分が同じになろうとは、その時は夢にも思わなかった。
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 蓮華への分岐を過ぎると樹林帯に入る。しばらく行くとアヤメ平。期待した高山植物はやっと雪が解けてまだ芽が出たところだ。がっくりして下っていく。まだ解けていない大きな雪渓が続く。アイゼンで慎重に降りる。ベンガラもまいてあるが通行者が少ないので踏み跡が不明瞭な所も少なくない。2,3度道をロストして戻って探し出す。ガスが濃い時などGPSが欲しい所だ。
 黒岩平は雪解け水が豊富でようやくニッコウキスゲ、ワタスゲなどの花が豊富。ザックを下して顔を洗い、冷たい水を補給する。
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 しかし、日が高くなるにつれ暑さが半端ない。ここからサワガニ山、犬ヶ岳までは細かいアップダウンが続き、風のない蒸し暑さにかなりグロッキーになる。犬ヶ岳への登りで昨日の疲れがドッと出てきた。この辺は年齢を感じる。小休止して水を飲まないと足が出ない。
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栂海山荘に着いた所で大休止。中は広く清潔でかなりの人数が泊まれそうだ。今晩ここでいいじゃん、と悪魔の囁きを振り払い、重い腰を上げて白鳥を目指す。天候は安定しているし日の暮れが遅いことを計算すれば十分到着できるだろう。
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 道は明瞭だしそれほどの登りもないが、いよいよ足が重い。ひたすら樹林帯の中のアップダウンが体力を奪う。幸いガスが出てきて日差しは遮ってくれたが、蒸し暑さがひどい。水を飲んでも飲んでも追いつかない。汗びっしょりになって黄連ノ水場に着くとザックを放り投げ、水場へ急ぐ。清冽な沢の流れが滔々と流れている。冷たい水をガブガブ飲み、上半身裸になって水を浴びる。生き返った~!
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 下駒ヶ岳の登りは木の根とロープにつかまっての急登。白鳥小屋に水がないのを想定して3ℓ担いだのでザックも重い。最後の白鳥山への登りはヘロヘロ。せっかくのブナ林を楽しむ余裕はない。ひたすら小屋の出現を夢見て這い登っていく。ようやく小屋が見えたときはもう歩かなくていい、という安心感でいっぱいだった。
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 白鳥小屋も清潔に管理された居心地の良さそうな小屋だった。この広い小屋に今日はオレ一人だけ。荷物を解いて階段ヨコのコンクリ上で裸になって炊事をする。遠くの海岸線は靄って見えなかったが、ここへ辿り着いたことで十分幸福だった。振り返って、朝日小屋で弁当(押し寿司)を仕入れておけばもう少し歩けた。つぶれたまずいパンを行動食で2個腹に押し込んだが、やはりパワーが出ない。行動食の少なかったのも歩けなかった原因だ。翌朝は少しでも涼しい内に距離を稼ごうと4時には出発することにした。
 
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 3時少し前に起床。4時に出発。空はもう明るくなりかけており、ヘッドランプも5時には消すことができた。ここから延々と下りが続く。シキ割は水が流れており、ここで補給。急な下りをロープにつかまりながら降りる。坂田峠に着くことにはもう日が昇り始めていた。ここからは立派なブナの林の中を歩く。所々に黒い糞が落ちている。まさか熊?熊鈴を持ってこなかったので一人で歌いながら歩く。尻高山がどこか分からないまま急な下りを降りていくとまた舗装路。そこを過ぎて二本松峠に行く辺りから蒸し暑さにまた疲れが出てくる。おまけにブヨの襲来だ。立ち止まると、一斉に腕や顔の周りにまとわりついて来る。虫除けスプレーを塗りまくり、用意した農業用虫除けネットを被る。疲れているが虫の餌食はいやだ。入道山への登りがまた急坂。5,6歩登っては喘いで息をつぐ。全く最後まで楽にはしてくれない。その後の下りも長い。国道を走るトラックの音が聞こえてきてからも随分下ったような気がする。構造物が見えた、と思ったら鉄塔。そこを過ぎてようやく道路が見えてきたときには全く自分を褒めてやりたかった。
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 親不知観光ホテルに上がり、入浴・送迎パック1500円を申し込む。海岸に降りて写真を撮ろうと外トイレ横から遊歩道に入ってビックリ。海なんてずっと下じゃん。階段をひたすら降りながら、帰りの登りを心配することに。ようやく海に手をつけて、でも帰りの時間が心配。喘ぎながら階段を上り、風呂に入って汗でビショビショの匂い立つ衣服を脱ぎ。水シャワーを浴びてようやく生き返る。
 パッキングをしてマジェスタで親不知駅へ送ってもらい、実はこの後が最大のドラマだった。
 貴重品をすべて収めたポシェットを車の中に置き忘れたのだ。それに気が付いたのは、送迎の車が去って線路の向こうに電車が見えたとき。あ、オレ、ポシェット忘れた。呆然と見送る9時42分発糸魚川行の電車。金がなくちゃ乗れんじゃないか。無人駅に戻っても、携帯も金もなんもない。誰もいないこのクソ暑い無人駅で、さてどーする?ホテルまで1時間かけて戻るか?あの歩道もない真っ暗なトンネルを通って大型車がビュンビュン走る国道を歩くのは自殺行為だ。通りかかった車を停めて、携帯を借りるしかない。小半時経ってそう思いつめた時、あのマジェスタが目の前に停まった。真に「地獄に仏」だと思った。ホテルの方は「心配したよ。もう次の電車は3時間後だから糸魚川まで送るよ」と言ってくださった。糸魚川駅でビールと冷やし中華を買って、冷房の効いた車内でいただいていると、人の優しさが身に染みた。
 親不知観光ホテルの方、名前も確認しないで申し訳ないです。この場を借りて深くお礼申し上げます。(もちろん後日、お礼の手紙とお礼の品は送らせていただいた)
 残念ながら高山植物はイマイチだったが、ロングトレールの山旅を味わえたこと、北アルプスから0mの日本海まで辿り着けたこと、自分にとってメモリアルな山行となった。反省点としては体力的に限界までの山行は危険を伴う。特に単独では。もっと余裕のある時間設定をするべきだった。また設定した日程にこだわらず、身体の調子に合わせて柔軟に宿泊地を変更してもよかったかもしれない。
 夜明けの稜線歩きは本当に気持ちよかった。空の色が変化して徐々に山並みが姿を現す。今度は白山辺りを狙ってみようかな。
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by toyotaalpine | 2017-07-23 18:42 | 個人山行

豊田山岳会山行報告のページ


by toyotaalpine
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